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NHKスペシャル『私は家族を殺した “介護殺人”当事者たちの告白』 [介護殺人]

「私は家族を殺した “介護殺人”当事者たちの告白」─2
 https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160703

 やはり「介護殺人」と男性介護者の特徴(=つらいことを決して他人には言わず、苦しくてもぐっとがまんし、自分の胸にしまう傾向)には、何らかの因果関係がありそうな印象を受けてしまいます。
 北村立医師が話されている「1対1というのは、夫婦でも子どもであっても煮詰まりやすい関係にあって、つながりが強いから、看たい気持ちも強いけど、排他的になって孤立しやすい」という言葉や、虐待を「介護殺人」の予兆と捉え、一人の男性介護者にほとんど依存している介護事例においては、予兆を見逃さないように留意する必要があるのかな・・。でも、介護殺人の「予兆」を見逃さないことってかなり困難な課題のように感じます。
 2016年7月3日に放送されましたNHKスペシャル『私は家族を殺した “介護殺人”当事者たちの告白』を13分の動画に編集しました(https://www.facebook.com/atsushi.kasama.9/videos/vb.100004790640447/605501069619576/?type=2&theater)のでご覧下さい。
 
朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第346回『介護と高齢者虐待─介護する息子の虐待が少なくない』(2013年12月17日公開)
 家族形態の多様化などにより、夫や息子など男性が主たる介護者となるケースが増えています。「認知症の人と家族の会」が実施している会員アンケート調査によれば(勝田登志子:認知症の人と家族の実情、そして願い. 月刊保団連 No.1066 24-29 2011)、男性介護者の割合は、1981年には8.2%でしたが、1991年には13.5%、1999年には18.6%、2010年になると31.7%まで増加しております。
 男性介護者が抱える諸問題については、「ひょっとして認知症? Part1─オトコの介護者の苦悩(第403~418回)」などにおいて詳しくお話しましたね。
 そして、シリーズ第269回『高齢者虐待の実像(その1) 多い息子から親への高齢者虐待』においてご紹介しましたように、「『高齢者虐待防止・支援法』の制定に先立って実施された平成十六年『家庭における高齢者虐待に関する調査』報告によると、最も多かったのは息子から親への虐待で、次いで嫁、娘、夫からの虐待であった。『高齢者虐待防止・支援法』施行後の平成十八年度・十九年度の『高齢者虐待防止・支援法』に基づく対応状況等に関する調査結果で最も多かったのは、やはり息子から親への虐待で、次いで夫、娘、嫁からの虐待であった。そして前記、三調査のいずれにおいても、虐待を受けていた高齢者は、圧倒的に女性で、約七割から八割を占める。」(梅崎薫:地域での虐待防止ネットワーク. 現代のエスプリ通巻507号 ぎょうせい発行, 東京, 2009, pp95-105)という現状があります。
 女性介護者は、苦しいこと、しんどいことを友人や知人にぶちまけ、ストレスを発散する傾向にあります。一方、男性介護者は、つらいことを決して他人には言わず、苦しくてもぐっとがまんし、自分の胸にしまう傾向があります。打ち明けてしまえば、わが家の内情がわかってしまう。そして、つつましい介護生活に土足で踏み込まれるような気がする。SOSを発したとしても冷たく突き放されてしまうかもしれない。その恐れが心のどこかにあるから、誰にも打ち明けない(『オトコの介護を生きるあなたへ─男性介護者100万人へのメッセージ』 男性介護者と支援者の全国ネットワーク[編著] クリエイツかもがわ発行, 京都, 2010, pp40-43)傾向があるのです。
 こうした男性介護者の特徴を理解し、さりげなく支えていくことが求められるのです。


朝日新聞アピタル「ひょっとして認知症-PartⅡ」第347回『介護と高齢者虐待─壮絶な介護をサポートする』(2013年12月18日公開)
 シリーズ第159回『認知症のケア 向精神薬の使用は慎重に』におきまして、石川県立高松病院副院長の北村立医師が「1対1というのは、夫婦でも子どもであっても煮詰まりやすい関係にあって、つながりが強いから、看たい気持ちも強いけど、排他的になって孤立しやすい」と指摘していることをご紹介しましたね。
 以下にご紹介する居宅介護支援事業所「ほっとからすやまケアサポートセンター」の佐藤智子所長(介護支援専門員・認知症ケア専門士)からの報告も、こうした煮詰まりやすい関係の中で不幸にして生じてしまった虐待事例と言えます。
 多職種が連携し、慎重かつ集中的な粘り強い訪問を展開することにより、次第に虐待が解消されていった貴重な事例報告(佐藤智子:〝抱え込み〟による壮絶介護の末「身体的虐待」に至った事例─ケアマネジャーの立場から. 訪問看護と介護 Vol.18 464-467 2013)を以下にご紹介します。なお虐待が絡む問題であり、個人情報保護には特に留意する必要がありますので、差し障りのない範囲で事実関係に改変を加えてご紹介致します。
【事例】
 患者:80歳代女性でアルツハイマー型認知症と診断されている。2人暮らし(次男と同居)。長男は海外に住んでおり、介護に全く関われない状況である。
 主たる介護者(次男):未婚。母の施設入所を希望しておらず、受診を忌避する傾向がある。
 副介護者(長女):隣町に在住しており介護には協力的である。しかし、主たる介護者への遠慮もあって、積極的には関わりにくい状況がある。
【経過】
 主たる介護者である次男の仕事は極めて多忙であり、平日の昼間は患者は独居状態で過ごしている。
 排泄・食事(食べ物を冷蔵庫から取り出し、自分で温めたりすることは可能)・歩行は自立しているものの入浴には一部介助が必要であり、要介護1と認定されている。
 早朝から夜遅くまで1人でテレビを観たり新聞を読んだりして過ごしており、孤立した生活を送っている。
 デイサービスの導入により比較的穏やかに過ごしていたが、骨折を転機として認知症の行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia;BPSD)が悪化し、本人の状態が急速に変化するなかで、主たる介護者と副介護者の関係も悪化してしまい、平日昼間の外来受診に支障を来すようになった。
 デイサービスの際に、患者さんの頬に「青あざ」があることに職員が気づき、ケアマネジャーが自宅訪問したところ、母親の自立を願い何とかトイレで排泄させようと必死になっている介護者の姿とともに、近所まで聞こえるほどの大声で母親を怒鳴っている様子が観察された。
 何とか受診を促して診察を受けた際、打撲痕などの存在より医師が「身体的虐待」と判断し、高齢者虐待防止法に基づき地域包括支援センターへの「通報」を病院から行った。
 その後も受診を忌避するためBPSDへの対応は困難を極め、介護サービス事業所の負担は極めて大きかった。しかし、訪問介護スタッフを中心とした多職種による、慎重かつ集中的な粘り強い訪問により、次男の介護負担が軽減されてからは、本人の身体状態やBPSDも安定化し、虐待行為も次第に消失していった。今では、訪問介護スタッフと笑顔で言葉を交わす次男の姿が見られている。
 高度認知症となっているものの、手厚い訪問看護で褥瘡もなく、穏やかな日々を過ごしている。

 読まれていかがでしたか。個人情報保護の都合上、細部にわたる生々しい紹介はできませんでしたが、壮絶な介護の様子を窺い知ることができましたね。
 虐待を未然に防ぐためにも、BPSDへの対応そしてきめ細やかな家族ケアが重要となることがよくご理解頂けたのではないでしょうか。
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