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妄想性障害 [認知症─鑑別診断]

2016年5月17日のクイズの答え

 診断:「妄想性障害」

 以下、妄想性障害について解説します。





妄想性障害

 妄想を主徴とするが、社会的な人格水準の低下が目立たない慢性の機能性精神障害のことを「妄想性障害」という。しかし、高齢者は脳の加齢性変化を伴っていることが多く、器質性疾患を除外することはむずかしい。妄想の内容は身の回りから発するテーマが多く、もの盗られ妄想や嫉妬妄想、被害妄想などがみられる。ただし、これらは高齢者の器質性認知症疾患でよくみられるため、妄想の内容から認知症と本症を鑑別することはできない。妄想のみがみられ、かつ認知症がないことが本症の診断根拠となるが、高齢者の場合は認知症があっても軽度であり、進行性でないかあるいは進行が極めて緩徐である場合に本症を疑う。治療は統合失調症に準ずる。
 そのほか、高齢者に発症し、やはり妄想を主徴とする病態に「遅発性パラフレニー(late paraphrenia)」がある。圧倒的に女性に多く、単身、独居など社会的に孤立している人に多いとされる。妄想の内容は、被害妄想、色情妄想(○○さんは不倫をしている、△△さんは自分に惚れている等)などありふれたものが多く、難聴を伴うことが多い。しかし、高齢者は脳の加齢性変化を伴っていることが多く、器質性疾患を除外することはむずかしい。
 【田平 武:かかりつけ医のための認知症診療テキスト─実践と基礎 診断と治療社, 東京, 2014, pp136-137】





「認知症と妄想性障害の鑑別」

質問
 認知症の外来診療において認知機能は比較的良いのに妄想が強い症例に稀に出合いますが、認知症と妄想性障害の鑑別方法について、吉岡リハビリテーションクリニック・宇野正威先生に。【質問者―田平 武(順天堂大学大学院認知症診断・予防・治療学講座客員教授)】

回答
 認知症は、進行するに伴い、自分を取り巻く状況を正しく理解し、何が求められているかを判断するという基本的な認知機能が衰えます。理解力が低下すると、状況を一方的に思い込み、周囲に対し被害的になりやすくなります。そのため、「認知症の行動と心理症状」の中で妄想の出現頻度は高いのですが、その内容は妄想性障害の妄想とは違いがあります。
(1)認知機能低下のない妄想性障害
 妄想内容は多彩ですが、次の2例は比較的よくみられる症例です。
 症例1:一人暮らし。ドアの外から、「お金がなくなり、そのうち自殺するよ」という、自分を家から追い出そうとする男と女の声が聞こえる、という被害妄想。
 このような症例は、未婚で、一人暮らしの、非社交的な女性に多く、しばしば難聴を伴うという特徴があり、遅発性パラフレニアと呼ばれることもあります。
 【宇野正威:認知症と妄想性障害の鑑別. 2014年11月8日号日本医事新報No.4724・質疑応答 52 2014】

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