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超高額がん薬 投与急増 がんを消す免疫薬の真実 [癌]

超高額がん薬 投与急増
 保険制度破綻の恐れ
 年3500万円 個人負担200万円

(冒頭省略)
 今後、別の超高額の新薬が登場する可能性も高く、国民の税金や保険料でまかなわれる現在の医療保険制度が維持できるのか、医療関係者の不安は高まる。
 医療機関も対応に苦慮する。保険適用以降、三月末までに七十人余りにオプジーボを使用した愛知県がんセンター(名古屋市千種区)では、購入のために約三億円の補正予算を計上。費用は診療報酬として約二カ月後に払い戻されるが、今後、さらに投与を希望する患者が増える見通しのため、さらに巨額の予算措置が必要になるという。
 同センターの木下平総長は「患者数が多い種類のがんにも保険適用が広がると予算措置だけでも大変だ。使用を年齢で制限するか、効果がない時は早めに中止を決断しないと医療費全体が膨らんで国の制度を維持できなくなる」と指摘する。
 …(中略)…

効果があるのは2割
 「効果があるのは二割の患者でも、治療できる可能性がある限り使わないわけにはいかない」。新しいがん治療薬オプジーボの使用について愛知県がんセンターの木下平総長は悩ましげに話す。
 オプジーボは患者の八割には効かないとされ、事前に効果を確かめることもできない。だが、有効な治療法がない患者には最後の頼みの網となるため、国の医療制度圧迫を理由に使用を断りにくい状況だ。センターでは、昨年十二月の保険適用の前から問い合わせが相次いだという。
 (以下省略)
 【2016年5月18日付中日新聞1面トップニュース

私の感想
 最初、この記事を読んだとき、まったく、ピンときませんでした。
 私が、「癌」の診療に携わっていないため、記事が訴えている核心部分が理解できなかったのですが、5月19日放送のBSフジ・プライムニュースで「最先端医療のジレンマ 薬剤費高騰の背景は? 皆保険制度は守れるか」を観て、問題の重要性が理解できました。
プライムニュース.jpg
 プライムニュースにおきましては、愛知県がんセンター木下平総長の「使用を年齢で制限するか・・」というコメントが大きくクローズアップされました。
 そして、「年寄りよりも将来のある若い方に優先して使いなさい」的な発言をどう受け止めるかという部分についてディスカッションが交わされました。
 この議論、危ない議論だなぁ~と思いながら私は放送を観ておりました。何故なら、その議論は発展すれば、認知症の高齢者には胃瘻などもってのほか!という議論に発展しかねないからです。非常に難しい問題を含みます。

P.S.
 ニボルマブ(商品名オプジーボ)に関しては、文藝春秋第九十四巻第七号にて衝撃的に報じられましたね。
 以下に再掲します。

がんを消す免疫薬の真実─知の巨人が世界的権威に迫る

 立花 隆(評論家)
 本庶 佑(京都大学名誉教授)

抗がん剤との比較実験で圧勝
 本庶:ニボルマブ(商品名オプジーボ)が登場するまでは世界中のほとんどのがんの専門家が、免疫療法でがんが治るとは考えていませんでした。実際、これまでの免疫療法はほぼ失敗しています。立花さんのように「本当かな」と思われるのも当然ですね。

末期のがんが小さくなった
 立花:今、世界中の医療関係者、がん患者の間で話題になっているようですね。新しい免疫療法として絶大な期待を寄せられていますが、正直なところ、僕はまだ、免疫なんかで本当にがんをやっつけられるのかな、と思っているんです。効果を裏づけるしっかりしたデータはあるんですか?         
本庶:いちばんはっきりした効果がわかる臨床試験のデータは、二〇一四年十一月にアメリカの医学雑誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に発表されたものです(図参照)。この臨床試験では、悪性の皮膚がんであるメラノーマの患者四百十八人を二つのグループに分け、一方(二百十人)にニボルマブ、もう一方(二百八人)には、当時メラノーマにいちばん効くと言われていた抗がん剤のダカルバジンが与えられました。いずれの患者も、他の処置を受けた経験はなく、医師にメラノーマと診断されたばかりの人が選ばれています。どちらの薬を投与されるかは、患者にも、医師にも知らされませんでした。
 …(中略)…
 本庶:先ほどの結果ですが、臨床試験開始後、一年後まで生きていたのは、ニボルマブを投与された患者で七〇%、抗がん剤では四〇%以下でした。ニボルマブ投与では一年四カ月後でも生存率はほぼ横ばいの七〇%。それに対して抗がん剤を投与された患者の生存率は二〇%を切ってしまった。
 立花:いちばん効くと言われた抗がん剤にも大きな差をつけた。
 本庶:そうです。あまりにはっきり差がついたので、臨床試験を続けるのは非人道的だからやめろ、と第三者委員会が途中でストップさせたくらいでした。これ以上続けても学術的な意義はあるかもしれないけれども、ニボルマブのほうが有効だとわかったのだから倫理的に問題だと判断されたのです。その後、それまで抗がん剤を投与されていた患者にもニボルマブが処方されました。
【立花隆、本庶佑 構成/緑慎也:がんを消す免疫薬の真実. 文藝春秋第九十四巻第七号 240-259 2016】

詳細は
 http://akasama.blog.so-net.ne.jp/2016-04-11-2

死の怖さと向き合う心理療法─自らがんと闘いながら辿り着いた心の平安 [癌]

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死の怖さと向き合う心理療法─自らがんと闘いながら辿り着いた心の平安

 もしあなたががんになったら? おそらく二つのことがあなたを襲うはずだ。一つは「がん=死」が頭の中を占領してパニックになる。もう一つは不安で不安で眠れなくなる。私がこれまで取材したがん患者のほとんどがそうだった。人はいずれ死ぬとわかっていても、やはり納得できない。では不安や恐怖を医療で取り除けるかといえば、まず不可能だろう。日本人の二人に一人はがんになり、三人に一人はがんで死ぬ時代である。がんにかかるのは悔しいが、がんにかかっても、不安と恐怖さえ取り除けたら、残された命を謳歌することも不可能ではない。とはいえ、そんなことは可能なのだろうか。実は、大腸がんで余命一年を宣告されながら、自らそれを実践している人物がいる。鹿児島大学大学院臨床心理学研究科教授の山中寛氏である。山中氏は日本を代表する臨床心理学者であり、とくにスポーツ界ではよく知られている。
 福岡ダイエーホークスの監督に就任した王貞治氏をメンタルトレーナーとして支えただけでなく、2000年のシドニーオリンピックでは、スポーツカウンセラーとして日本の野球チームに帯同している。
 その山中氏が働き盛りの五十五歳で大腸がんがわかり、すでに肝臓にも転移していて余命一年を宣告された。大腸がんは外科手術で取り除いたものの、肝臓に転移したがんは直径十センチにまで増大した。重さにすれば約一キロだ。このために胆のうを圧迫して胆汁の流れが止まり、何度も死にかけたという。しかし余命一年どころか、すでに六年を超えた。
 今は「がん=死」の恐怖を乗り越えて、残された命をとことん生き切ってみようと淡然としている。さらに「がんになってよかった」と思えるようになったという。山中氏を不安と死の恐怖から解放させたのは、アスリートたちに対して行った自己コントロール法を、自ら死と向き合いつつアレンジした、いわば応用編である。その手法を知りたくて、筆者は山中氏がいる鹿児島に向かった。以下は山中氏の語りである。
 …(中略)…

がんの「恐怖」を観察する

筋肉の緊張を緩める
 …(中略)…
 アメリカではがん患者の不安に対処する方法として漸進性弛緩法を取り入れていますが、日本であまり注目されないのは、指導できる臨床心理士が少ないからでしょう。
 私は朝五時半に起きると、まず手洗いに行ってから布団の上で漸進性弛緩法をやります。寝起き直後のまどろんでいるときが一番リラックスしやすいですね。
 まず上向きに寝た状態で手を体から五センチほど離し、掌を下にします。これ以降の手順は次の通りです(イラスト参照)。
 …(中略)…

主体性を感じることが大事
 体を緩めてリラックスするならマッサージでもいいじゃないかと思われますが、マッサージは機械や他人に依存するのに対し、これは自分で行うことに意味があるのです。ただリラックスするだけではなく、自らの努力で自分をコントロールしているという主体性を感じることが大事です。
 私たちには生まれてから育っていく過程で身にしみ込んだ性癖や思考、価値観など独特の〝構え〟──思い込み──があります。「がん=死」もそうです。身に染み込んだものは、なかなか気づかないものですが、リラックスすることで、凝り固まった〝構え〟に気づき、緩めてやることができるのです。
 がんの患者さんが一番困っているのは精神安定剤や睡眠薬を飲まないと眠れないことでしょう。でも漸進性弛緩法を毎日続けていると、心地よい夢うつつの状態で緊張と緩和を繰り返しますから、眠くなったときにそのまま眠ればいいのです。シドニーオリンピックで選手にこれをさせたら、野球日本代表の大田垣耕造監督が「あれやると眠れますね」といってました。一番効果があったのは監督だったようです。

健康な人にも効果がある

自己暗示をかける

最後に覚醒運動を

「大いなる命」に任せる
 不安や死の恐怖を鎮めるのに、これらの自己コントロール法でも十分効果があるのですが、体のスピリチェアリティに目覚めるとより確実になっていきます。
 かつての私は、合理的でないものを信じて行動することはあり得ませんでした。なぜなら研究者として統計に重きを置いていたからです。それが変わったのは、何度も死にかけたことで、自分の体の中にあるスピリチェアリティに気づいたからです。誰にでもスピリチュアルな体験はあるはずですが、常識に囚われていると、それに気付かないだけなのです。従来の臨床心理学の方法に加え、もしも自分のスピリチュアリティに意味を持たせることができれば、恐怖心はなくなっていきます。
 私は二〇一四年十二月から、「ひと月は持たない」と言われ続けながら生きています。医師の常識では、私が生きていることが不思議なのだそうです。それでも生きているのは、生かされているからかもしれません。人はいずれ死にますが、自分が生きているのは、自分を生かしてくれている〝大いなる命〟があるからだと思い直しました。抗わず、すべて〝大いなる命〟にお任せしようと。すると死は心のどこかに収まっていくような感じがして、それまではがんのことばかり考えていたのに、いただいた命をとことん生きてみようと考えるようになりました。死ぬ直前まで生きる喜びはあるはずです。
(以下省略)
おくやみ.jpg
 【取材・構成/奥野修司 山中 寛:死の怖さと向き合う心理療法─自らがんと闘いながら辿り着いた心の平安. 文藝春秋第九十四巻第七号 306-314 2016】

がん─免疫療法 ニボルマブ(商品名オプジーボ) [癌]

bunsyuu.JPG
がんを消す免疫薬の真実─知の巨人が世界的権威に迫る

 立花 隆(評論家)
 本庶 佑(京都大学名誉教授)

抗がん剤との比較実験で圧勝
 本庶:ニボルマブ(商品名オプジーボ)が登場するまでは世界中のほとんどのがんの専門家が、免疫療法でがんが治るとは考えていませんでした。実際、これまでの免疫療法はほぼ失敗しています。立花さんのように「本当かな」と思われるのも当然ですね。

末期のがんが小さくなった
 立花:今、世界中の医療関係者、がん患者の間で話題になっているようですね。新しい免疫療法として絶大な期待を寄せられていますが、正直なところ、僕はまだ、免疫なんかで本当にがんをやっつけられるのかな、と思っているんです。効果を裏づけるしっかりしたデータはあるんですか?
 本庶:いちばんはっきりした効果がわかる臨床試験のデータは、二〇一四年十一月にアメリカ医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に発表されたものです(図参照)。
 ニボルマブvs抗がん剤.jpg
 この臨床試験では、悪性の皮膚がんであるメラノーマの患者四百十八人を二つのグループに分け、一方(二百十人)にニボルマブ、もう一方(二百八人)には、当時メラノーマにいちばん効くと言われていた抗がん剤のダカルバジンが与えられました。いずれの患者も、他の処置を受けた経験はなく、医師にメラノーマと診断されたばかりの人が選ばれています。どちらの薬を投与されるかは、患者にも、医師にも知らされませんでした。
 …(中略)…
 本庶:先ほどの結果ですが、臨床試験開始後、一年後まで生きていたのは、ニボルマブを投与された患者で七〇%、抗がん剤では四〇%以下でした。ニボルマブ投与では一年四カ月後でも生存率はほぼ横ばいの七〇%。それに対して抗がん剤を投与された患者の生存率は二〇%を切ってしまった。
 立花:いちばん効くと言われた抗がん剤にも大きな差をつけた
 本庶:そうです。あまりにはっきり差がついたので、臨床試験を続けるのは非人道的だからやめろ、と第三者委員会が途中でストップさせたくらいでした。これ以上続けても学術的な意義はあるかもしれないけれども、ニボルマブのほうが有効だとわかったのだから倫理的に問題だと判断されたのです。その後、それまで抗がん剤を投与されていた患者にもニボルマブが処方されました。
【立花隆、本庶佑 構成/緑慎也:がんを消す免疫薬の真実. 文藝春秋第九十四巻第七号 240-259 2016】