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軽度認知障害と主観的記憶障害 [主観的記憶障害]

軽度認知障害と主観的記憶障害主観的記憶障害は軽度認知障害の前段階ではない
 軽度認知障害(MCI)では,物忘れの訴えがあり,加齢に伴う範囲を超えた記憶障害が存在するものの,全般的な認知機能は正常に保たれている。したがって,日常生活動作は保たれることから,認知症とは呼べない状態である。主観的記憶障害(SCI)とは,客観的な認知機能低下はないが主観的な認知機能低下の訴えのある状態をいう。
 認知症前段階の健忘型MCIは年率にして10~15%がアルツハイマー病(AD)を発症するため,SCIがMCIの前段階か否かが問題になる。Kiuchiらが,拡散テンソル画像(DTI)を用いて,AD39人,MCI43人,SCI28人,正常コントロール41人を検討したところ,ADとMCIでは白質の異常があったが,SCIでは正常と差がなかった。ついでYasunoらは,安静時のfMRIを用いてSCI23人と非SCI30人の自己参照処理をつかさどる皮質内側構造間の機能結合を比較した。また,その機能結合異常の構造的基盤解明のために,DTIとアミロイドPETをSCI13人と非SCI15人に実施した。SCIではfMRIで内側正中構造間の機能結合の低下,DTIで白質機能の統合性の低下を示すFA(fractional anisotropy)値の低下を認め,機能結合の低下とFA値の低下は相関していた。アミロイド集積は2群間で差異を認めなかった。
 これらの結果はSCIがMCIの必ずしも前駆状態とは言えず,皮質正中構造の機能結合の低下は自己参照処理の機能異常を示しており,物忘れ経験の過剰な評価につながることを示すものである。
【解説】岸本年史 奈良県立医科大学精神医学教授
【日本医事新報 No.4778 2015.11.21 49】
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