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認知症患者への告知および「人生の最終段階における医療」に関する意識調査・第二報 [認知症の告知]

認知症患者への告知および「人生の最終段階における医療」に関する意識調査・第二報
  榊原白鳳病院  笠間 睦

 『認知症サミット in Mie』のポスターセッションにて報告予定
 2016.10.15(土曜) 13:10~14:00の4分間
 四日市都ホテル

 4分間=約1,200字
 ※現状、まだ2700文字ありますのでこれからさらに絞り込みます。

【前置き】
 私は12年前に(2004年7~8月)、アルツハイマー病患者さんの介護者39名を対象として告知に関する意識調査を実施しております。
 結果は39名中34名の方が、「自分自身が認知症になった場合に告知を希望する」と回答しました。しかし、患者さん本人に告知されているケースは34名中8名に過ぎませんでした。この数字は、当時の朝日新聞・生活面において紹介されました。
 この調査では、もう1点注目すべき結果が出ています。
 告知を希望した34名(常に告知を希望する:27名、初期の場合だけ告知を希望する:7名)の方には、告知を希望する理由をお伺いしております。この調査結果は、2010年4月17日にグランドプリンスホテル新高輪において開催されましたアルツハイマー病研究会第11回学術シンポジウムの「認知症の経済被害、損失とその支援を考える」というセッションにおいて住田裕子弁護士が紹介して下さいました(住田裕子:認知症の告知の問題. 老年精神医学雑誌 Vol.22 138-142 2011)。
 では告知を希望する理由っていったいどのような理由だったのでしょうか。

 告知希望者34名が告知を希望する理由(複数選択可)
1 純粋に病名は正しく知りたいから:9名
2 判断力が残されているうちに遺書など残したい:12名
3 進行性に悪化するだけなら、自分の最期を考えたいので:3名
4 その他(自由記載):0名
5 1&2:6名
6 1&3:1名
7 1&2&3:3名

 「告知を希望する理由」として、実に34名中7名(20.6%)の方は、「進行性に悪化するだけなら、自分の最期を考えたいので」という3番の回答を選択しておりますね。この20.6%という数字は、アルツハイマー病患者さんの介護家族の“辛さ”を反映する数字なのかも知れません。いずれにせよ私は、この数字を知り、その後長く、告知に積極的に踏み出せなくなってしまいました


【目的・方法】
 認知症の告知に関しては、海外の報告においても賛否両論で意見が分かれている現状が報告されています。
 「ケンブリッジ市の一般開業医に質問紙法で実施した認知症および末期がん患者への告知状況に関する調査では、末期がん患者に対し『必ず』告知しているが27.0%、『しばしば』告知しているが67.6%に対して、認知症患者には『必ず』告知しているが5.0%、『しばしば』告知しているが34.2%であり、認知症患者への告知は、がん患者への告知と比較して開業医が躊跨している現状です。

 さて、終末期医療に本人の意向を反映することはとても重要な課題だと思います。ただ、それには「告知」が避けて通れない課題となります。
 しかしながら、告知に積極的な医師はまだまだ少なく(=首都大学東京の繁田雅弘先生の調査報告では、「本人に告げられなかった(告知を受けなかった)」のは過半数の53.9%です)、ましてや認知症初期の段階で終末期医療に関して説明している医師は極めて例外的です。繁田先生の調査報告(http://www.repository.lib.tmu.ac.jp/dspace/bitstream/10748/4316/14/10280-011.pdf)によりますと、告知に際して終末期医療に関する説明(=家族に対して)がされているのは11.5%に過ぎません。
 私は2年前に、アルツハイマー病の通院患者さん全員に対して「マイルドな告知」を実施し、終末期医療に対する意識調査を実施しました。調査の結果、ご本人が終末期医療として経腸栄養を希望したのは皆無であったことを、一昨年の第33回日本認知症学会学術集会において第一報として報告(http://akasama.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06-1)し、神崎恒一先生が編集をされました文光堂の『入院高齢者診療マニュアル』に寄稿しております。
 は当時の私は、“うつ病”を患っており、この論文は脳が機能しない状態で必死に書き上げた論文なのです。  認知症の人ときちんと正面から向き合うことができずうつ病に陥っていった私が気力を取り戻せたのは、告知問題を通して認知症の人と正面から向き合う姿勢を徐々に取り戻していったからでもあります。


【方法および結果 1】
 本年2月~4月、第一報の対象者の中からアルツハイマー病患者を抽出し再調査を実施し、意向に変化があるのかどうかを調べました。
 本人が希望する終末期医療の意向は、2年前と大きく変化することはなく(2016年5月23日付朝日新聞フォーラム)、前回調査と同様、本人が経腸栄養を希望したケースは皆無でした。


【考察 1】
 再調査の意向に大きな変化がなかったことより、認知機能の低下が進んでも、人間としてのコア(核)となる部分には変化が乏しいのではないかと推察されました。

【方法および結果 2】
 本年4月18日より6月15日の期間、榊原白鳳病院もの忘れ外来において、認知症の新患全例を対象として、告知に関する意向調査を実施しました。
 告知希望者に対しては、予後についても知りたいかを尋ね、予後告知希望者に対しては、マイルドな告知に基づき、終末期医療に対する意向調査も実施しました。
 上記期間におけるもの忘れ外来の新患数は14名でした。「異常なし」と「妄想性障害」の2名を除く12名を今回の集計対象としました。
 12名の内訳は、半数の6例が改訂長谷川式認知症スクリーニングテスト(HDS-R)21点以上であった。
 診断は、アルツハイマー型認知症8例、血管性認知症2例、レビー小体型認知症1例、その他1例であった。

 本人が告知を希望したのは6名(半数)であり、6名中3名が予後告知を望みました。
 その3名を対象として、経口摂取が困難となった場合に望む医療を確認すると、以下の回答であった。
 末梢点滴:      1例
 医師に任せる:    1例
 その他:       1例
  ※その他:「食べられなくなった時のことを考えたことがない」

【考察 2】
 比較的初期の段階において、終末期医療で実施される種々の治療の長所・短所について説明すると、経腸栄養を希望したケースはなかった


【結語】
 新オレンジプランにおいては、「人生の最終段階を支える医療・介護等の連携」を新たに設けました。ここでは延命処置などについて、多職種協働によりあらかじめ本人の意思決定の支援を行う取り組みを推進することを掲げています。
 私は、それを実現するためには、告知問題が避けては通れない課題と考えております。
 今後も、本人と家族が終末期医療について話し合うためのきっかけづくりになるよう、早期の段階での意向調査と啓蒙活動に積極的に取り組んでいく所存です。

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